もう一度君に会えたなら

「本当に大丈夫?」

 榮子は心配そうにわたしを見た。

「大丈夫」

 榮子に全て話をしてしまったほうがいいだろうか。頼朝の娘の夢を見ているということを。
 だが、それはやめておいたほうがいい気がした。
 余計に彼女に心配をかけさせてしまうから。

 榮子はわたしの肩を抱いた。

「本当に何かあったら言ってね。今度は絶対にあなたを守るから」

 わたしは榮子の言葉に頷いた。


 わたしは家まで榮子に送ってもらうと部屋に直行した。そのままベッドに身を投げ出した。

 なぜわたしは大姫として、彼は義高としてあの夢を見ているのだろう。
 いや、夢と言っても何かが違う。わたしのそれまで見た夢はぼんやりとしていて、どこかぼんやりとしている印象だ。だが、あの夢はやけに鮮明だ。まるで自分が今見てきたかのような。

 見てきたか。

 さっきの感覚もそうだ。まるで自分が過去に同じことを言われたような既視感。わたしは体を起こすと自らの手をじっと見た。