「師匠、手合わせしてください!」


「リューロ…僕は魔力切れの後遺症で絶対安静状態なんだけど?」


「大丈夫、師匠の辞書に不可能という文字はない」


「あるから」


リューロは必死で元の力を取り戻そうとしていた。

サーラは今、元の自分よりも強い。

早く彼女を追い越したかった。


「なぁ師匠〜、頼むよー」


「魔力が完璧に戻って万全になったらね」


「絶対安静とか言いながら剣の素振りしてるくせに」


「鈍っちゃうからね」


「じゃあ俺との手合わせくらい」


「嫌」


「完全拒絶?!」


ちゃんと3日は待った。

ドラゴンとの交戦後のアレフとサーラは3日で回復したのだ。

なのに今回は3日経っても2人とも剣の素振りしかしていない。


「…サーラはドラゴンより手強かったの?」


その結論にしか辿り着かない。


「…そうだね。あの子は前回の戦いでライトソードのみでドラゴンと対等。今回はドラゴンとやりあった経験、そして他の魔法。今の状態ならドラゴンに1人で勝っていた」


リューロは唇を噛み締めた。

冒険に出る前、自分はドラゴンに勝てるかという問いにアレフは、

『今のリューロじゃまだ無理だね』

と、断言したのだ。

サーラは、あの日の自分をとうに超えている。

自分がどんな手を使っても勝てなかった『手を抜いている師匠』をも超え、『全力を出した師匠』に引き分けた。

しかも支援魔法なしで。


焦りと不安でどうにかなってしまいそうだった。