新しい職場に移ってから1年程たち、新しい会社の環境にもなれたころ、辞めることも告げないまま置いてけぼりにしてしまった顧客のことを思い出していた。そろそろ連絡しなきゃ・・・。突然退職してしまった侘びも入れなきゃならないし。そう思いながら、連絡を入れたいと思っている方々の、パソコンの中に登録されているアドレスを整理していると、「安住祐介」のアドレスをみつけた。もうしばらく連絡すら取ってない。あんなに密に仕事をしたのに連絡もしないままだ。彼の上司にもお世話になっていたけれど、近況報告については、安住だけにとどめておこうと思った。

安住にメールで、前の会社を辞めたこと、最近やってる仕事のこと、新しい会社のことなど含めた内容と最後に「突然辞めたことだけでも謝らなければならないけれど、こうやって突然またメールすることも含めて、ごめんなさい。」と添えて送った。わりとすぐに返信があった。

「食事でもしながら話ませんか?」

その晩、アタシは安住と会う約束をした。