社に戻ってから彼は、私に課に上がらずに待つようにと命じた。
課の皆にも、顔を見られたくないからちょうどいい。
言われた通りにエントランスの片隅で待っていると、彼はすぐに降りてきた。
「行こうか」
彼はどうやら本当に、歳末の貴重なアフター5をフルで付き合ってくれるつもりらしい。
その夜、私は大いに荒れた。
女友達にだってしないような世にもミジメなフラれ話を、
異性の、ましてや仕事の上司でしかない彼に半ばヤケクソにぶちまけた。
隠しようもないほど全てを見られてしまったことが、私の口をより滑らかにした。
寺田さんの事、ハヤト君の事…
いつもみたいに、毒づいて笑い飛ばしてくれるなら、それはそれでいいと思った。
だけど彼はそうはしなかった。
あくまで真摯な顔つきで、グダグタ話を聞いてくれた。
「……とまあ、そんなワケで。寺田さんの事はもういいんです。
うすうすそんな気がしてましたから。
それよりも私は……ん?」
「全っ然良くない…」
見ると彼の握りしめたグラスが、ピシッとひび割れている。
「うわっ。か、カチョー?」
「アイツだけは赦せない…」
課の皆にも、顔を見られたくないからちょうどいい。
言われた通りにエントランスの片隅で待っていると、彼はすぐに降りてきた。
「行こうか」
彼はどうやら本当に、歳末の貴重なアフター5をフルで付き合ってくれるつもりらしい。
その夜、私は大いに荒れた。
女友達にだってしないような世にもミジメなフラれ話を、
異性の、ましてや仕事の上司でしかない彼に半ばヤケクソにぶちまけた。
隠しようもないほど全てを見られてしまったことが、私の口をより滑らかにした。
寺田さんの事、ハヤト君の事…
いつもみたいに、毒づいて笑い飛ばしてくれるなら、それはそれでいいと思った。
だけど彼はそうはしなかった。
あくまで真摯な顔つきで、グダグタ話を聞いてくれた。
「……とまあ、そんなワケで。寺田さんの事はもういいんです。
うすうすそんな気がしてましたから。
それよりも私は……ん?」
「全っ然良くない…」
見ると彼の握りしめたグラスが、ピシッとひび割れている。
「うわっ。か、カチョー?」
「アイツだけは赦せない…」