あ~、あれから結局聞けずにこんなに経っちゃったよ。


もう今さら聞けないしなー。


はぁ~。


いっそのことコクっちゃおうかな。


あー、でもそしたらことごとくフラれてもう友達にもなれなくなっちゃうんじゃ……。


昔は恋とか知らなくって、男の子とか女の子とか関係なしに仲良く遊んでた。


中学でも、ずっと同じだと思ってた。


いつから変わっちゃったのかな。


蓮くんが他の女の子と楽しそうに話してるのを見て、不思議な気持ちになったり。


時々冷たく当たってしまったり。


私たちはきっといつの間にか大人になっていってるんだね。


好きになるってこういうことなんだ。


初めて分かったんだ、蓮くんに恋して。


コクるのが怖い。


でももし蓮くんが他の誰かと付き合っちゃったら、もっとやだ。


私に出来そうなコクり方、あるかな?


私はノートをパラパラと捲る。


何で今まで気づかなかったんだろ。


蓮くんのどの絵も、表情はいつも一定。


私は蓮くんの他の表情を、いつも見ているはずなのに、描くときはいつも真顔だ。


チクッ…と心に棘が刺さったような痛みがした。


私にはきっと描ける、描けるはず。


蓮くんの笑顔を、このノートの中に、蓮くんのいろんな表情を詰め込むんだ。