誘う幻想 ノーカウント37

焦ってすぐに駈け出した。

逃げなければ、死ぬ!

体全体が危険を感じている。神経も細胞も総動員して逃げることに専念する。死にたくない、それだけが脳を埋め尽くしていた。

ひゅっと時折風が吹く。鎌が振りおろされたんだ。
どんどん近付いてきている気がする。
体力ももう限界だ。誰か……助けて!

願いが通じたのか、銃声が響いた。

「隊長!」

銃を持っている隊長が見えた。すぐに私は壁に隠れた。
なんとか生きている。何故だか感動して目が潤んだ。呼吸を整えてから様子を見る。

固まって移動していた皆の方を襲っている。悲鳴が聞こえ、散り散りに逃げていく。
直後、悲鳴が響き、皆の動きが止まった。
目を凝らして見る。

隊長が、腕を抑えて座り込んでいた。