中に入ると、寝込んでいる美貴さんがいた。

「犯人、見つけたの」

「私なんです……ごめんなさい!」

私は頭を下げた。

「この子……多分政府に何かを言われたんだと思う。またあいつが現れたの……」

「また……何で子供ばかりを……」

私の他にもいたんだ。

「あの……これで、私をバコーンとやっちゃってください!そうしたらまた歌えるようになるんです!」

「え?」

私以外の全員の声が揃った。

「えっと……この棒……力を奪えるんです」

決して変な人ではない。

「……えっと、ほんとにするの?」

「はい!思いっきり!」

「うーん、やりづらい」

覚悟はできている。背中に衝撃が走る。

「うぐぅ!」

「えっ!?力抜いたのに何で!」

呪われてるのかな、あれ。

「大丈夫?」

倒れかけた私を支えてくれる。

「はい、ありがとうございます」

姿勢を直し、美貴さんの方を向く。

「申し訳ありませんでした」

「反省しているならいいの。もう、しないでね。あと……あれをどうやって手に入れたの?」

私はこの世界に連れてこられたことから全てを話した。

「この世界に連れてきて何かを渡す……それが政府のやり方なのね」

ここの政府は何を考えているんだろう。

「羅雪ちゃん、これから政府に狙われることになるかもしれない」

「狙われますね」

「もしかしたら、政府と戦うことになるかもしれない」

戦う、平和な世界で育った私には想像できない。けど、ここまで来たんだ。

「迎えうちます!折角ここまで生きてこれたんですから」