夢を見ていた。

あったかくて、フワフワしてて…まるで朔みたい。
朔っていうのはあたしの彼氏。

さくっていうんだよ。


これは夢?
不思議な夢。

夢だって分かってる夢は初めて。

軽く意識がある感じ。

起きたらね、朔が目の前に居てね、抱き締めてくれるんだ。

きっと………ね。








「ぉる!
かおる!
杉宮薫!!!
聞いてるのか?!」

開き難い瞼をこじ開けると、数学教師の里田が居た。

いつもの光景だ。


「おはよーございマス。
あーいちゃん。」

この人は、里田 哀。

体育会系なのに数学教師。

かなり名前にコンプレックス持ってるみたい。

女っぽいもんね。

「杉宮ァァァ!
お前は教師をバカにしてるのか?!
大体、授業中に居眠りをする奴があるか!」


なんて説教聞いてる間にチャイムが鳴った。

「センセー。
授業終わりましたよ。
早く帰りたいんすけど。」



朔…………。

最愛の恋人。

哀ちゃんは時計をチラチラと覗いてる。


「ぅ…あぁ。
じゃ、今日は終わりだ。
杉宮ぁ!!
放課後職員室に来いよ!」


朔の言ってくれた事はまったく無意味になっちやった。