「一。"タイ"どーした?」

「ん?あるよ」



ほらっ!と言わんばかりに、一は肩にかけている鞄の取っ手の部分を指差して、俺に見せてくる。



「……………」

「?」

「あのな……それは"リボンタイ"。
お前の"ネクタイ"は?」

「紫音と交換した」

「いや……見ればわかるし、それも知ってるから、しばらく見逃してやってたんだけど……
予備だよ。予備!」

「ねぇよ」

(だよな)

「なら、買え」

「やだよ。高けぇじゃん」

「……………」

(ある意味"コレクター"だったろ……)

「そういうことなら、月瀬に返し「買うから!」



俺が言い終える前に、被せて即答した一にフッと笑みが漏れた。



「何だよ?」

「いやぁ…俺も、もうちょっと若かったらな。と思って」

「は?ダメだよ。仙ちゃん」