白昼夢を見た。



私の中に私がいて……

瞳を閉じている。



不思議に思って近づいたら、同じだけ遠のいて……

私が立ち止まったら、私も止まる。



だから、お互いの間の距離が変わることはなかった。



それならと思い、私が私に話しかけてみても、

それでもその瞳が開くことはなくて……



私は首を傾げた。





あれは…何だったのかな………






「紫音」



ボヤッと教室の窓辺にたたずみ、以前とは変わった景色を眺めていると、

廊下の方から、私を呼ぶ声が耳に届いてきた。


振り返って見た先には、そこのドアに手をかけた煌暉くんが立っていて、

私と目が合うと、何の迷いもなく教室の中に入って来る。

そしてそれに気づいたクラスメートの女子達が、少し浮かれた様子で、煌暉くんを目で追っているのがわかった。