『気に入って頂けるか……』



そう言って、差し出されたリボンのかかった箱に驚いた。



「え?まだ何かあんの?」

『?』

「だって……廊下チューと歌……」

『廊下チュ…いえ、あれはオプションです。前にそう言いましたし。歌は、私の想いを音に乗せただけなので。だからメインはこちらです』



間をあけることなく、早口で喋り続けた紫音に、笑いが声に出た。



「ハハハッ 言い止(とど)めたこと。まだ恥ずかしいのか?
それに便乗して、歌のことまで恥ずかしくなった?」

『……………』

「俺はどっちも、すげぇ嬉しかったよ」



俺は微笑んで、そう言ったのに…

なぜかむくれる紫音。



「何でそんな顔?」

『煌暉くんのお誕生日なのに………私を喜ばすことばっかり……
今もさっきも…ズルい』

「だからだろ?」

『え?』

「一日たったの24時間が、俺にとっては凄く長いんだ。紫音と過ごす時間はあっという間なのにな。
何の拷問かよ。って思う。
だから、今日がどれだけ待ち遠しかったか……

まだその先には程遠いけど……
それでも…その期間さえ、俺には嬉しいことでもあるんだ。

紫音を…俺無しではいられなくさせるための時間だからな」