『どうぞ』



紫音が自宅の玄関ドアを開け、プライベート空間の中へと招き入れてくれる。


ここへは初めて来るわけじゃないけど、あまりにも無防備な紫音に、俺は複雑な心境を抱えていた。


ここへ来るまでの途中で、紫音が言ったこと。




"榊さんがお休みなので、私では大したおもてなしも出来ませんが、許して下さいね?"




つまり、完全な二人きり。




いや、それは何度も経験してるけど……


そこじゃなくて……




今日は俺の"18"の誕生日なわけで……




いくら以前に宣言したからといって、二つの内の一つがクリアになった日。


愛しさゆえの暴走に、また理性を総動員するのかと思うと、ちょっと気後れするのが正直なところでもあった。


だけど、

それはそれ。これはこれ。ということで…


複雑さ半面…招いてもらえる喜びの方がそれに勝る?



「おじゃまします」