「ハハッ 可愛いな。

俺も手作りにしよっかな。
だから、来月も俺ん家来てよ。作り方教えて?」

『え?煌暉くんがですか?』

「菓子作りはしたことねぇけど、出来るかも」

『そうなんですか?』

「言ってなかったっけ?
男でも関係ないって、ガキの頃から、いろいろ仕込まれたこと。
その"おかげ"って言うのも変だけど、けっこう得意だっりすんだよな。料理とか」



そう言われて、その新たな一面が見れて嬉しいはずなのに、



『返してください』



私は思わず、そう要求していた。



「は?」



煌暉くんがキョトンとして、私を見つめてくるけど…


私はそこから視線を下げて、まだ煌暉くんの手に持たれたままだった小箱をジッと見つめながら、二度めの要求をした。



『それ、……返して下さい』