『私がして欲しいこととか、言いたいけど恥ずかしくて言えないこととか……』


"それって…"


まだ顔をうずめたままの紫音が、どんな表情をしているかはわからない。だから、

「紫音……」

俺はその名前を囁いた。

俺の声でゆっくり上げられた顔。

そこにあったのは、切なそうに、だけどどこか恥ずかしそうにした表情(カオ)。

『本当は今日もずっと一緒にいたくて……でもお仕事だったからガマンして……
それが煌暉くんに会えて、嬉しくて……ギュッてしたくなりました。
だからさっき“怒ってる”って言ったのは嘘です。
この姿を見られて恥ずかしくなったのは本当ですけど……
……ごめんなさい』

見つめ合ったまま、紫音から紡がれた言葉は俺と同じ想い。

「紫音可愛い。キスしていい?」

戸惑いに動いた紫音のグレーアイズ。
その瞳の中に映る俺は、その返事を待つことなく口唇へそっと触れた。


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