『よかったんですか?』

「何が?」

『お話……途中だったんじゃ』

「何でもないって言ってたじゃん」

『でも、私が来たからじゃ……』

「何言ってんの?」

『でも…』

「"でも"はもういいから」

『だけど…』

「紫音?同じ意味だよ?塞ごうか?」

『……………』

「ハハッ 可愛い」

『……………』

「紫音、名前呼んで?」

『?』

「俺の名前」

『煌暉くん』

「やっぱいいな。紫音に呼ばれんのが一番"クる"」

『くる?』

「"ク・る"」

『?』

「抱きしめて、キスしたい」

『!?』

「冗談だよ………の反対」

『……………』

「今さらだな。俺が冗談で言うわけないじゃん。いつだって本気」

『……………』

「そんな顔見せたら、ほんとに今すぐするよ?」



そう言って、つないでいた手を持ち上げ、その甲へとキスを落とした。



「今は、これでガマンしてあげる。あとでな」



俺がニッと笑顔を向ければ、紫音の顔がさらにまっ赤に染まった。