莉音はびっくりした顔でゆっくりピアノの方へ戻っていく。 「最近引いてないから、ちょっと間違えそう。 がんばるね」 僕を見て微笑んでから、ピアノに向かう。 やってないと言っても間違えてないっぽい。 最初から聞いてやっとわかった。 これは、 『運命』 そして、 ピアノの前に座る莉音が。 いつもと違う雰囲気を漂わせている莉音が。 すごく。 違う世界にいる、 ____大人みたいだった。