見えちゃうけど、好きでいて


季衣は、ようやく自宅に到着した。

階段を上っている途中に隅っこに座り込んでいる人影が見えた。

季衣は足を止め、後姿を見ながらおびえた。

「あ、あの……」

座り込んでいる人は、何も反応しない。

とっさに、この世の人ではないと察した季衣は「き、昨日もここに座っていましたよね……」とつぶやいた。

その言葉に反応し、スッと立ち上がると、一瞬にして季衣の目の前に現れた。

ギュッと目をつむり肩を縮めていると『許せない』と声が聞こえた。