結婚の約束をしよう

例えば今、知らない人が何人か現れて、その中に陵がいると言われても、私にわかる自信はない。

それくらい、あの会話以外の記憶は曖昧だった。

「いつから来るんだろうねー。あたし達のクラスに来ないかなぁ。ね、結愛。」

「えー、私はどっちでもいいよ。」

深月は意外とミーハーだ。

ナントカってアイドルグループのファンやってるくらいだし。


キーン…コーン……

「じゃぁ結愛、また後で!」

「うん。」

チャイムが鳴り、私と深月は
それぞれの席についた。

今から先生が来るまでの10分間は、毎朝読書の時間。

授業に入る前に気持ちを落ち着かせ、集中力を高めるためみたいな事を入学した時に聞いたような記憶があるけど、真面目に取り組んでいるのは半分くらいじゃないかな。

読む本はマンガ以外なら何でもいいーーー教科書を読んでる子、ホラー小説を読んでる子もいたりする。


真面目に取り組んでいない方に入っている私は、今日も本を開くだけで視線は窓の外。

窓際の席は陽ざしがポカポカと暖かく、襲って来る睡魔には逆らえない。