「いってらっしゃい。」

「行ってきまぁす。」

「うぃっす。」

お母さんに見送られ、私と陵は家を出た。

昨日私が言ったからか、今朝はちゃんとリビングで待っていた陵。

別に頼んだ訳じゃないのに毎朝迎えに来るのは、何か理由があるんじゃないかと思ってしまう。

思春期で親とうまくいってないとか?

それとも、単に早起きで時間を持て余してるとか?

陵の家から学校に行くまでには私の家を通る…ついでといえばついでか。

「なぁにゴニョゴニョ言ってんだよ。」

「あ、ごめ…。」

陵に、頭を軽くポンと叩かれて我にかえった私は、すぐ目の前にある陵の顔に驚いて、ドキドキしてしまった。

陵は比較的小柄だから、私と身長差が少ない事もあって、近づかれると余計にドキドキする。

「あれ?結愛、顔赤くね?」

ふっと、陵の手のひらが私のおでこに触れる。

「え⁈あ、りょ…陵っ!大丈夫、だから。」

陵が私に触れた事でドキドキ倍増の私は、もはや上手く話す事も出来なくなっていた。