結婚の約束をしよう

「おはよー深月。」

今日も北風に吹かれ登校、教室でコートを脱ぎながら深月と話すのが私の日課だ。

「おはよ、結愛。今日も凍えそうだねー。」

私が日課ということは、深月にとっても日課なんだろう。

「教室があったかいからメガネが曇るー(笑)。」

言いながら、メガネを外してレンズを拭き始める深月の目は、クリっとした二重で可愛らしい。

「あははー。コンタクトにでもしたら?」

「え〜こわいよー。」

「あ、ねぇ、私たちの学年に転校生が来るよ。」

「え⁈結愛何でそんな事知ってるの?」

「近所に住んでた幼なじみが、戻ってきたらしいんだ。」

私はふと、視線を窓の外へ移した。

葉のない木が、寒そうに映る。

陵の明るい性格なら、こんな木に花を咲かせる事くらい簡単にしてしまいそうだ。

「その幼なじみって、男?女?」

「男だよ。」

「ひゃぁ、イケメンだといいなぁ。」

テンションの上がった深月が、笑顔ではしゃぎだした。

「どぉかなー。私も幼稚園の頃しか知らないし。」