結婚の約束をしよう

私も深月に手を振り返しながら、横目で陵を見た。

「ん?なんだ?」

「な、何でもないっ!」

私の視線に気づいたのか、陵が私を見てきたので、慌てて目をそらして歩き出した。

「カラオケ、本当に行くの?お母さんが何て言うか…成績下がりぎみなの、陵も知ってるでしょ?」

本心は、ただ私の気が進まないだけーーーそれをお母さんの名前で、体(てい)良く断れないか企み中。

「そんなのオレに任せろって。着替えたら結愛んち行くからな、支度してろよ。」

「…。」

一度決めたらイノシシの様だわね…。



「ただいまぁ。お母さん、私オナカ痛いかも。」

こうなったら仮病しかないーーー陵が来たら適当に断ってくれる事を期待して…。

「おかえり。大丈夫なの?」

「とりあえず部屋で寝てるよ。」

「そう?何かあったら来なさいよ。」

「うん。」

私は部屋に入ると、エアコンの電源を入れてから部屋着に着替えて、ベッドに転がってマンガを読み始めた。