結婚の約束をしよう

「あ、ねぇねぇ結愛、ちょっと来て。」

「え?どこ行くの?」

「トイレ。」

私は教科書とノートを机にしまうと、深月と一緒にトイレに行った。

「はい、ここに立ってね。」

深月は私を鏡の近くに立たせると、持っていたポーチからヘアピンをだして、私の前髪を留めた。

「な、なに?」

状況がイマイチ飲み込めない私だったけど、次の深月の言葉で理解した。

「まゆ毛。キレイにしてあげる。」

そう言って、手には小さなハサミが握られていた。

「あ…。」

そう言えば昨日、まゆ毛の話してたっけ。

私は深月の”完成!”という言葉を聞くまで、大人しく目を閉じていた。

あんまり上手くないけど…なんて深月は言っていたけど、自分で整えることすら出来ない私にとってはじゅうぶんだった。


それから、いつも通り授業を受けて、大盛りの給食を何とか食べて、下校時刻となった。

「結愛、帰ろ?」

コートに袖を通しながら、深月が私の席まで来た時、

「残念、今日はオレと帰るんだよな!」

陵が会話に割って入ってきた。