結婚の約束をしよう

「あ、昨日ウチに来てたんだってね。」

ふいに思い出して、聞いてみる。

もしかしたら、プレゼントとか用意してくれたり…なんてね。

「うん。」

リアクションに何かを期待した訳じゃないけど、陵は一言だけ言ってから、笑顔を見せるだけだった。

北風が、私の髪をなびかせたーーー…。


「おはよー。」

寒さに耐えながら着いた学校ーーー上履きに履き替えてる最中にも、陵はクラスの女子からあいさつされていた。

どれだけ馴染むのが早いんだ…。

「おはよってば。」

陵が返事をしないもんだから、再びあいさつが飛んでくる。

「陵っ。」

陵に教えてあげようとしたけどーーーあれ?

私の隣にいたはずの陵の姿はなく、既に上履きに履き替え、クラスの男子と廊下を歩いているのが視界に入ってきた。

じゃぁこの声はーーー。

「おはよ、竹田さん。聞いてるー?」