結婚の約束をしよう

部活が終わり、いつもの帰り道を深月と歩く。

「じゃぁね、結愛。」

「うん。また明日ね。」

駅前で手を振り合ってから、その手をすぐにコートのポケットに入れる。

今日は出来るだけ外の空気に触れたくなかったーーーそれだけ寒いのだ。

明日は冬至だって、担任の先生が言ってたっけ…。

「…。」

そろそろ電車が着く頃なんだろうか、駅前は迎えの車や乗客を待つバスが停まっていて、いつもより明るかった。

石崎先輩も、降りてくるかな…。

待ってみようかな…でもこの寒さは耐えられないーーー私は駅前のコンビニに向かった。

そこから改札を出てくる人が見えるから、もしかしたら石崎先輩の姿を見ることができるかもしれない。

そんな期待を抱いて、コンビニへと向かう私の目は、一人の人を捕らえた。

「…あ!」

思わずあげてしまった声に自分で驚いて、私は口を手のひらでふさいだ。

ーーー石崎先輩!

…て…え…?うそ……。