結婚の約束をしよう

婚約者だなんて言われたらたまったもんじゃないーーー私は深月の口をおさえて、発言のジャマをした。

「私だってもう中3なんだから…みんな気にしすぎ。さぁ描いた描いた。」

私はみんなに絵を描くよう促すと、深月と少し離れた席へ移動した。

「でも急にアカ抜けちゃって、どうしたんだろうねー。」

「絶対彼氏だよ。」

「万年入学式直後の竹田センパイだったのに、超ビックリだよね。」

聞こえてないと思って、みんな好き勝手言っていた。

否定できないところもあるとはいえ、万年入学式直後はさすがに失礼でしょ。

「もー結愛ってば。」

後輩たちの言葉に少し機嫌を悪くした私の隣には、更に不機嫌な深月が座っていた。

「ごめんごめん。でも深月、婚約者とか言おうとしてたでしょ?」

「バレた(笑)?」

そう言って舌をペロっと出して苦笑う深月は、羨むほど可愛らしかった。