結婚の約束をしよう

「ゆ、結愛、助けて…ぐえっ!」

「あは…。」

男子の1人に羽交い締めにされた陵を見て、私は小さく笑った。

これが、今の私の精一杯。

「あははは!」

陵の周りにいる子たちの笑い声に、私の存在はすぐに薄くなる。

外見だけじゃなくて、中身も変わらないと…とてもじゃないけど自分に自信なんて持てないだろう。

陵はそんな私の外見を変える事で、キッカケをくれようとしてるのかな…。

そう思うのは、ただの買い被りかな。

「……。」

私は、まだみんなと騒いでる陵を見ていたーーー…。



放課後の美術室ーーー

「わぁ!ホントに竹田センパイですか⁈」

「センパイ可愛い〜!」

「あたしもイメチェンしたいですー!」

今日は、やたら騒がしかった。

「竹田センパイ、彼氏でも出来たんですかぁ?」

「別にそういう訳じゃ…。」

美術部の後輩たちが騒ぐ理由は、もちろん私の外見の変化について。

「彼氏じゃなくて、婚約しゃ…むぐ!」