結婚の約束をしよう

私は、教室の中で雑巾を投げて遊んでいる陵を見ていたーーー。

あのノリで来られると、本気と冗談の境目がわからなくなる。

「おい竹田っ、笹野に遊ぶなって言ってやってくれない?」

「え…わ、私?……え⁈」

突然教室の中から声が飛んできて、キョドりぎみの私。

「嫁だろー?ちゃんと旦那の面倒見ろよー(笑)。」

「え…あ…。」

「結愛、大丈夫?」

恥ずかしくなって下を向いてしまった私を、深月が気遣う。

こういう時、みんなどんな風に返すのだろう…私にはわからない。

普段なら進んで私に話しかけてくる事なんてないのに……給食の時もそうだったけど、家族と深月以外から話しかけられる事に慣れていない。

「結愛は関係ねーだろー。」

その声に、私はハッとして顔をあげた。

陵の顔が、そこにハッキリと見えたんだ。