結婚の約束をしよう

それは、解っているつもり。

解っていてもどうにもならない、この引っ込み思案な性格が、いつもジャマをするんだ。


「結愛、やれば出来るじゃん!」

陵は満足気にしてるけど、私はちっとも嬉しくなかった。

あれから他のおかずも大盛りにされ、何とか完食した私のお腹はいつもより膨らんでいた。

「お腹苦しい…。だいたい何でそんな上から目線なのよ。」

「お?そうか?そんなつもりはなかったけど…なんなら亭主関白宣言でもしておこうか(笑)?」

そう言って、クラスみんなの笑いを誘うーーー。

笑えないのは、私だけ。

だいたい亭主関白って……結婚もしてないのにやめて欲しい。

「そうだよなー、おまえら結婚するんだったよな!」

「ヒュ〜。」

「結婚式呼べよ!」

冷やかしの声が次々と教室中を飛び交い、私は恥ずかしさで耳を塞ぎたくなった。

風の音も、聞こえなかったーーー。