結婚の約束をしよう

そうして20分後、洗い流した私の髪はーーー…。

「…うゎ……。」

時間をかけてせっせと乾かさなくても、見事にボリュームとうねりが抑えられていた。

「ありがとう陵!長年の悩みが嘘みたい!」

元々クセがひどいから完全にサラサラストレートとまではいかないけど、それでも見違えるほどだ。

「良かったぁ。」

陵は、満面の笑みで私を見ていた。

「よし!あとは仕上げだな。結愛、髪の毛切れるハサミあるか?そこに座れ。」

「うん。これがそうだけど…て、え?陵がやるの⁈」

ドレッサーの前に座らされた私は、鏡に映る陵を見て言った。

陵の右手にはハサミが握られていて、チョキチョキと音を立てている。

「おう。オレ器用だから心配すんなよな。母さん美容師だし。ちょっと整えてやるよ。」

確かに器用かもしれないけど、自分で器用って言われると不安になる。

それに、陵のお母さんが美容師なのは関係ない気がする…。