結婚の約束をしよう

陵って結構器用なのかも。

陵の、私の髪に触れる手がだんだん気持ちよくなってきて、ウトウトと眠りを誘う。

でもそれは、

「よし!できた!」

という陵の明るい声によって現実に引き戻され、私はハッと目を見開くのだった。

「これで20分おけばいいらしいぞ。」

「…ありがとう。少し窓開ける?」

「そうだな。」

薬剤の独特な臭いが部屋に充満している事に気付き、部屋の窓を少しだけ開けた。

すうっと冷たい風が入ってくると、部屋のあたたかい空気をすり抜けて、少しだけ私たちを冷んやりさせる。

「そうだ、結愛おまえスマホ持ってねーのか?」

「スマホ?持ってるけど…。」

「なんだ、早く言えよ。番号教えて?」

「あ、うん。ちょっと待って。」

私はベッドの脇で充電していたスマホを取り、陵と番号を交換した。

それから少しの間、お互いスマホでゲームをしたりして時間をつぶした。