結婚の約束をしよう

「…。」

さすが、もういつもの調子だよ…反省の2文字はないのか。


新聞紙を床に敷いたり、髪の毛をブロッキングしたりして、最後に薬剤の準備をした。

「よし、やるぞ。」

いよいよ…という緊張感は、ストパーをかけるのが初めてだからではなく、陵が私の髪に触れるから。

「りょ、陵…やっぱ私自分で……。」

「何言ってんだよ、後ろとかもちゃんとやらなきゃいけないだろ?」

わかってるんだけど、わかってるんだけど……私には、免疫がない。

「ちゃんとやってやるから、心配すんなよ。」

心配とか、そういう問題ではなくて…。

「…。」

あぁもう…早く終わって。

目を閉じて、祈って、またすぐ目を開けた。

目を閉じているとその他の感覚が敏感になり、陵に触られている髪の毛からつま先に向けて、電気が走るようだった。

そんな状態は、耐えられなかった。

ブロッキングした髪を1つずつほどき、丁寧に薬剤を塗ってくれているのがわかる。