結婚の約束をしよう

陵が買ってきた物とは、ストレートパーマの薬剤だった。

「おまえ昔よりクセがひどくなっただろ?そんな髪じゃ扱いにくそうだしさぁ。」

「…。」

「結愛?」

黙ったままの私の顔を、陵が覗き込む。

今の私は、ドキドキなんかしない。

ドキドキどころか、イライラMAX。

「陵って何なの⁈久々会ったと思ったら、太れだのストパーかけろだの…。イヤミ?制服の着方だって口出してきて…私は普通でいいんだから!」

陵が戻ってきたと聞いて再会を楽しみにしていたのもつかの間、いざ再会したらコンプレックスを逆なでされっぱなしで、私はこれ以上黙っていられなかった。

「…ごめんな。」

あからさまにシュンとする陵を見て、私はすぐに言い過ぎたかも…と、後悔しかけていた。


「私の方こそ、ごめん。髪の毛は…乾かすのとか大変だから、やってみようかな……。」

ストレートパーマをしようなんて考えもしなかったのは事実で、だからその効果に少し興味がわいてきた。

「ホントか⁈よーし、じゃぁやるぞ!準備しよ!」