結婚の約束をしよう

陵は本気で私と結婚する気でいるのかな…?

でも、私は石崎先輩のことが好きで、陵とは結婚する予定なんてないんだけど…。


あんな昔の、ままごとみたいな約束ーーー…。

それに、陵とはもう会えないだろう…って、何故かそう感じていたのに。

まさか再会するなんて……。

「あ!」

突然声をあげた陵が、手をポンと叩いた。

「オレちょっと行ってくるわ!すぐ戻るから!」

「え⁈行くってどこ…。」

私が言い終わるより先に、陵は部屋を出て行ってしまった。

時間がないって言ってたから、用事か何かかな…。

それにしても、台風みたいなヤツだ。

「ふふ…。」

陵が居なくなった部屋は、やたら静かに感じて、何だかおかしかった。


「あれー?結愛、陵くんは?」

掃除機を一階に返しに行ったついでに寄ったリビングで、お母さんが私を呼び止めた。

「どっか行っちゃった。また戻ってくるらしいけど。」

「そう。それならいいわ。」

お母さんは、機嫌が良かった。