「おふぁよ〜…。」

陽が差し込むリビングに、私はあくびをしながら入った。

「結愛、何時だと思ってるの?いつまででもパジャマのままで、着替えてから来なさいよ。」

「パジャマじゃないもん、部屋着だもん。」

そう言って逃げるのはいつもの事で、お母さんの呆れ顔もいつもの事。

「それに、勉強してたから朝起きれなかったの。」

「はいはい。」

勉強してたと言えば、大抵それ以上言われずに済むーーー信じてくれているかは別として、遠慮なくこの手が使えるのは受験生の特権かも。


「ちゃっちゃとゴハン食べちゃってよ?」

「はぁーい。」

私は控えめに返事をしてから、智沙の隣に座った。

そして、スクランブルエッグを一口、口に運んだ時だったーーー…。


ピンポーン…

インターホンの音が、元気よく鳴り響いた。

「はいはい、誰かしら。」

そう言ってインターホンに出て、二言三言話してから玄関へ向かったお母さん。



「結愛、約束通り来たぞ!」

少ししてリビングに入って来たのは…陵だった。