「…。」

ドレッサーの前に立たされた私は、少しだけ違って見えた。

最も、着ている本人は何も変わってはいないから、違って見えるにも限界はあるけど。

「どうだ?」

「そうだね。あ、ありがと。」

でも、陵が嬉しそうに笑うから、私もちょっぴり嬉しくなった。


「陵くーん!晩ごはん食べてくー?」

下からお母さんの声が聞こえてきて、私は陵を見た。

「陵?」

「あぁ…うん。結愛のお母さんは、いつも明るくて…変わらないな。結愛も、全然変わってないな…。」

「…。」

何でかな、少し遠い目をしながら、それでも笑顔の陵に、私は声をかける事ができなかったんだ。

哀愁ってヤツ?

よくわからないけど、そんな様な事を感じた。


「おばさーん!オレもう帰るから!」

でも数秒後には、何もなかったようにお母さんに返事をしていた。

「結愛、ちゃんと部屋片付けとけよ!」

「わかってるよ!」