覚えてたなんて、思わなかった…。

しかもあんなにサラっと言ってのけて…恥ずかしくないのかな。

「…。」

休み時間の間も陵はみんなの輪の中心にいて、楽しそうに笑っていた。

私は、出来るだけ火の粉が降りかからない様に、ぼんやりと外を眺めたりしていた。

外では北風が木々を揺らしていたけど、教室の中で日光浴中の私は、再び睡魔と戦うのだったーーー。


キーン…コーン……

「結愛、部活行こぉ?」

「うん。」

放課後になり、私は深月と部活に行くため、カバンに荷物を詰める。

この時期、ほとんどの生徒は引退してるけど、希望者は年末まで部活に参加することが出来る。

私と深月は美術部で、月・水・金だけ参加して、デッサンしたり、落書きしたり、おしゃべりしたり……割と自由な時間を過ごしている。

「結愛、おまえまだ部活やってんの?」

話を聞いていた陵が、席を立とうとする私に声をかけてきた。