誰と聞かなくてもわかる、オレが会いたかった結愛がここにいた。

昔の面影が残る結愛に、懐かしさを覚えた。


「結愛!」

嬉しさのあまり思わず呼んでみたが、反応はなかった。

聞こえていないのか…オレのことも見えていないみたいだし。

オレは手のひらを自分の目の前に持ってきた。

「…。」

手を動かしたその感覚はあるのに、オレにもオレ自身が見えなかった。

なんなんだ、オレ。


「それにしても…。」

オレは見えないのをいいことに、結愛のすぐ近くまで来ていた。

そして、ため息をひとつ吐き出す。

これが中3の女子かよ…。

もう少しアカ抜けててもいいだろ…。

普通すぎる結愛を見て…いや、どちらかと言うとダサい部類に入る結愛を見て、お節介かもしれないが何とかしてやりたいと思った。

「…。」