救急車がオレを乗せて、サイレンを鳴らしながら走って行った。

残されたのは、グシャグシャになったオレの自転車。

それから警察官と、トラックからおりてきた顔面蒼白の男。


「…。」

オレは、どうなったんだ…?

オレは、どうなるんだ…?


「し…死ぬのかな。」

呟いた瞬間ザワザワと吹き抜ける風が、気持ち悪かった。


アイツは、どうしているだろう……。

ふと、幼なじみの竹田結愛の顔が浮かんだ。

父さんの仕事の都合で引っ越して以来、9年間も音信不通のオレと結愛だけど、結愛の事を忘れたことはなかった。

死んじゃったら…もう会えないんだよな。

「…。」

オレは、静かに目を閉じた。



「結愛っ。」

え…結愛ーーー?

「ぉわッ⁈」

結愛という名前に反応してあわてて目を開いた瞬間、オレの中に1人の女の子が飛び込んできて、思わず声をあげた。