結婚の約束をしよう

「ちょっと何お姉ちゃん、参考書買ったって言っただけじゃん。」

参考書を、買った…?

「そうだ、参考書があった!ありがと智沙!」

「ちょっとお姉ちゃん⁈」

「結愛、ごはん中にどこ行くの?」

2人の話も聞かず急いでリビングを出ると、階段を駆け上がった。

陵が戻ってきていたという証拠を必死で探していた私の、こんな近くにあったなんて…!

参考書は、買ってなんかいないから。

「……あった。」

机の本棚に3冊ーーー私が陵からもらった参考書と同じ物が並べられていた。

震える手でその中の1冊を取り出すと、パラパラとページをめくった。


「ウソ……ない。」

そこにあると期待した、陵が書いてくれていたメモ書きが、キレイにその姿を消していた。

他の参考書も全部見たけれど、かわりに書いてあるのは私の少し丸みのある文字だけだった。

智沙の言う通り、本当に私が買ったものなんだろうか…。


最後の望みがーーー絶たれた気がした。

立ち尽くす部屋の中で、私は降りやまない雨の音を聴いていた……。