結婚の約束をしよう

「俺も北中だったんだ。」

「あ…はい……。」

知ってる……先輩は人気者だったんですよ。

「何年生?」

「さ、3年生…です。」

憧れの石崎先輩から話しかけられて、会話ができて、すごく嬉しいはずなのにーーー驚くことに、早く終わってほしいと思っている私がいる。

「そっかぁ、受験生じゃん。てか勘違いだったらごめんだけど、たまに俺に会釈してくれてた子…?」

「あ、はい。あの…急ぐんで、すみません。」

「あぁ、雨なのにごめんね。また傘飛ばされないように、気を付けなよ。」

「ありがとうございます。」

私は丁寧にお辞儀をすると、足早にその場を離れ陵の家に向かった。


「…。」

気づいて……くれてた。

石崎先輩とすれ違う度に、私が会釈をしていたことーーー。

「う…うぇ…っ。うぅ…。」

嬉しいはずなのに、すごく嬉しいはずなのに。

雨に負けないくらいの涙を、私は流して泣いていた。