結婚の約束をしよう

「結愛、教科書見せて?オレまだもらってなくてさー。」

「あ…う、うん。」

1限目が始まり、私は陵に教科書を見せるため、机をくっつけた。

「なぁ、おまえ緊張してんの?」

「…っひゃぁ……。」

「どうしたの?竹田さん。」

イキナリ耳打ちされて変な声をだしてしまい、すかさず指摘する数学の先生。

「い、いえ。すいません。」

「それじゃ、昨日の宿題の問1の式と答えを、竹田さんに言ってもらおうかしら。」

ゔ…。

「わ、わかりませんでした。」

「昨日やったとこでしょ?ちゃんと聞いてたの?」

「…。」

数学は苦手なんだよ、私は。

当てられたくなかったのに、陵が耳打ちなんかするから…。

「じゃぁ、はーい。先生、オレ答えてもいいっすか?」

私が何も言えない横で、陵が手をあげて言った。

「どうぞ。えーっと…。」

「笹野です。」

「笹野くん、どうぞ。」