ここから先は文字がぼやけていて見ることが出来ないようだ。

それにしても随分古びた本だ。

めくりながら私、御厨 凛月(みくり りつき)は思う。

ページをめくるだけでボロボロと紙の破片が出てくる。

色もくすんでいて、なんともいえない不格好な姿になっている。

私はオカルト研究部に所属している。

だからこのような不格好極まりない本は幾度となく見てきたが、この本が群を抜いている気がする。

「りつりつ、早いね〜!……って新しい研究課題?」

元気な声とともに部室に入ってきたのはオカルト研究部副部長であり親友の泉 朱里(いずみ あかり)。

ちなみに部長が私だ。

オカルト話が大好きな彼女。この部も彼女の提案で設立された。

ついでに部の説明もしておくと、部員は私達2人を含め10人ほど。

案外オカルト好きな子が多くて驚いた。

というか、朱里の気まぐれと謎のオカルト愛により設立されたようなこの部に、たくさんの子が入部してくれただけでも奇跡に近いと思う。

先程の話に戻るとこの本は、この学校の近くの神社で見つかったのだという。

呪われそうで見たくないし持っていたくもないという村人が多く、この学校に寄付という形で譲り受けることになったらしい。とはいえ、村人同様、歴史文書でもない、こんな古びた本を欲しいと思う人なんていないわけで。

まあそういう経緯で、我がオカルト研究部に回ってきたのである。