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「さっきの状態を見て、現状を今の彼女へ伝えるのは酷なことかもしれないな。
記憶ごと過去へ戻っていると考えられる今……煌暉には辛いことになるだろうが…お前との関係はもちろん、それでつながる仕事のことも含めて。

彼女の父親へも話してみるけど、幸い学校の方はもうすぐ夏休みに入るし、落ち着くまでここで様子を見るのがいいと思う。
その後は、彼女が望めばもちろん自宅へ帰ってもいい。だがその時は、誰かが側にいることが望ましいな。

詳しいことは、いくつか検査をしてその結果で診断してからのことになるが……それはまた連絡する」



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紫音が再び眠りについた後、そう言っていた母さんの弟であり、医者である聡真(そうま)さん。



(どうして……)



いくら考えても、頭の中を占めるのは疑問ばかり。




「紫音…………好きだよ。……好きだ」




俺は伝えることの出来なくなった想いを、眠っている紫音へと…ただ繰り返した。