私がボーーッと記憶を辿っていると、パタパタと聞こえてきた足音。

近づいてきた音は再びここへ戻って来た先輩で、その先輩と一緒にいたのは一人の女性と、多分白衣を着ているからお医者様。

だけどお医者様以外の二人の顔が、焦りと不安が入り交じったような表情を見せていて……

ゆっくりと私へ近づいて来たお医者様が、



「月瀬さん」



私に話し掛けてきた。



『はい』

「気分はどお?」

『………頭が…少しボーッとしてますが…大丈夫です』

「そう。じゃあ、名前は氏名で言えるかな?」

『?………月瀬…紫音です』

「年令は?」

『…………14才』

「今日が何年の何月何日かわかる?」

『20xx年の…………』

(あれ?何月何日だっけ?)



「じゃあ、この人達のことはわかる?」

『…………一先輩と、』



私は先輩と視線を合わせ、その隣りにいた女性とも視線を合わせた。



『…………ごめんなさい。失礼ですが……?』



その瞬間、驚愕に満ちた二人の目が私を見つめてくる。



「紫音ちゃん………」



その女性が泣きそうな顔で私の名前をつぶやいた。



「聡真(そうま)さん……」



そして先輩も…お医者様の名前だろうか……やっぱりまだ不安そうにした表情でその人へ呼び掛けた。