「痛いっ!!」


 あまりにも性急に茜の体を俺のモノにしようとしたから茜を傷つけたのか?と一瞬驚いたが、茜は真っ赤な顔をして「優しくして」と俺に言う姿はまるでこれまで男を知らなかった様だ。

 そんな事はないだろう?と俺は疑ったが、どう考えても茜の体はまだ誰一人として受け入れていない体だった。

 俺は茜が純潔を守ってくれていたことに驚きと感激で涙が出そうになった。茜が俺を待っていてくれたのかと思えてしまうと俺は自然と気持ちが言葉に出てしまった。


「茜、愛している。」

「うん、私も、優也を愛してる。」


 茜の言葉に俺は信じられなかった。驚いて茜の顔を見つめると茜は俺に何度も「愛しているよ」って囁いてくれた。


 俺は夢のような時間を過ごした。本当に、あの茜をこの腕に抱き締めているのだろうか? もしかしたら、目を覚ましたらやっぱり夢だったという事ではないだろうか?

 これまで見た何度となく見てきた夢を見ているのではないだろうかと。俺は今起こっている現実が俺のいつもの妄想の世界ではないのかと疑うことばかりだ。

 けれど、今、俺の胸に抱かれて眠るのは茜に間違いない。

 スヤスヤと眠るのは茜だ。可愛くて可愛くて何度抱き締めてキスしたいと思ったことか。成長した茜を考えるだけで俺は平気ではいられなかった。


「茜、本当に俺でいいのか?」

「うん、いいよ。」


 眠っていると思っていた茜は起きていた。俺の声に反応して目を開いて俺を見つめた。その見つめる瞳はとても熱くて俺の体が燃え上がりそうな程の熱を帯びている。


「茜、好きだ。」


 これまで言えなかった言葉を何度も繰り返してはキスをする。夢の様な時間を何時まで過ごせるのだろうかと、俺はこんな時に会長から受け取った見合い写真を思い出していた。