「分かんない…何それ…柄本くんの勝利の女神の間違いじゃないの。」


膨れっ面で軽く森田を睨む。



「あ?……柄本の方が良かった?」



「っ、」


少しだけ不機嫌そうに口を開いた森田は、やっぱり今日もイケメンで

何をさせても絵になってしまう。



「わりぃな、竜(柄本)には勝手に断ってきた。…やっぱ、やんねぇって。」


「………っ?」


それってどういう意味?…と、そこまで出かけた言葉は、森田の胸の中に吸い取られて

─────────ギュッ


「好きだよ、江菜。」


痛いくらい抱きしめられながら、聞こえてきた言葉に思う。


──────また、やられた。



「もう、お前いなきゃ無理。側で見ててくんなきゃ、勝てない。」


スタメンイレブンなんて呼ばれるくらいサッカーの才能に恵まれて、さらには容姿端麗。


そんな男が、私がいなきゃダメだって言うから。


……ほら、仕方ないからさ。
私だって忙しいけど、そこまで言うなら


「勝利の女神…してあげてもいいよ。スタメンから外されたら可哀想だし。」


傍に置いてもらおうかな。


「…ふっ…本当、可愛げねぇやつ。」


私の答えに、優しく笑いながらも…その腕の力は緩まない。


「森田…」


森田の腕の中、幸せに包まれた私の気分はルンルン。嬉しくて…嬉しくて…



「ん?」


「大好き。」



今なら甘い言葉の一つや二つ…簡単に言えてしまう。


ほら、


「ばっ……不意打ちやめろ////」



ゆでダコ森田の出来上がり。