兄は学校では問題児だったらしい。授業はよくサボり、成績も下の下。唯一体育だけは得意だったみたいだが。 それでも思いやりはあった。友達が多く、先輩や後輩からも慕われる優しさがあった。 そしてそれは、妹の私に対しても同じだった。優しいお兄ちゃん。 私が10才の誕生日を迎えた日、両親は残業で帰りが遅くなった。 「俺がケーキとってくるよ。」 16才の兄は私の頭を撫でながら笑顔でそう言う。 私は何も考えず、ただ送り出した。 兄は自転車にまたがり、ケーキ屋さんに向かった。