瑞希お兄ちゃんの用意してくれた部屋に行くにも、大好きな人に会いに行くにも、『凛道蓮』にならなければならない。

そのために、ヤマトの家の洋間が必要だった。

ただ、それだけで――――――




「浮気なんて、違います!僕が一番大事なのは、瑞希お兄ちゃんなんです!」

「・・・ならいいけどよ。」




私の言葉に、あぐらをかきながらつぶやく。

納得はしてないみたいだけど、わかってくれたような言い方だった。

せっかくの2人きりなのに居心地の悪い状況。

話題を変えたくて、今度は私から話しかけた。




「お兄ちゃん・・・今日はラストまでお仕事だったんじゃ・・・?」

「代わってもらった。」

「え!?代わるだけでも文句を言われるのに、どうして!?」

「文句は聞き飽きてるからいいんだよ!凛が・・・・五十嵐のところに入り浸ってるみてぇだって、烈司から聞いてな。」

「え?」

「凛が気になったんだ。」

「僕、が?」

「五十嵐と仲良くしすぎだろう?」



そう言うと、私の腕を掴んで引き寄せる。





「俺より仲がいいんじゃないのか?」

「っ!?」






間近で見る顔は、真剣なもの。

そんな表情をされたら、戸惑ってしまう。




(見惚れちゃう!!)



「ぼ、僕は、瑞希お兄ちゃん一筋です!」

「ふーん。で?」

「だから!瑞希お兄ちゃんが一番大好きだから、ヤマトは本当に友達です!」

「お兄ちゃんと友達が別ものか?ちょっと差別じゃねぇー?」

「え、いや、と、とにかく!!瑞希お兄ちゃんが宇宙で一番大好きなんですよ、僕はっ!!」


「くっ!あっはっはっはっ!そうか、そうか。」




私の必死の訴えに、大声で爆笑する瑞希お兄ちゃん。





「あはははは!そうか、宇宙か?参ったなぁ~そうか・・・!」




ニヤニヤしながら言うと、私から手を離す大好きな人。