「だいたい、最初からあんたのこと気に入らなかったのよ。ガリガリの体でフラフラ学校に来てさ、体育のときとかすぐ体調悪いアピールしてサボるし。あんたがいると、周りの空気が暗くなるんだよ!」


目の前の女子が怒鳴ると、顔に唾が飛んでくる。

しょうがないじゃない、病気だったんだもん。本当に体調が悪かったんだもん。

それなのに、空気が暗くなるとか言われても。

そもそも、空気は暗くならない。空気は重くなるものだ。

早く彼女たちが飽きてしまわないかと、ぐっと唇を噛んでこらえていると……。


──がさ。


のびっぱなしの雑草を踏む音が聞こえた。


「あれ。うわー、すげー素敵な雰囲気」


こ、こののん気な声は……!

壁ドン女子はハッとし、体を離す。

声のした方を見ると、制服をだらしなく着崩している茶髪の彼が立っていた。


「関係ないだろ! あっち行けよ!」


ものすごい迫力で怒鳴る、壁ドン女子。