「あんた、病気が治ったからって、調子乗ってんじゃないの?」


その日からわずか二日後、同じように体育館裏に呼び出された私は、男子ではなく女子に壁ドンされていた。

髪が長い、つり目でアジアンチックな顔をした彼女の後ろには、仲間と見られる女子が二人。


「麻衣子が蓮くんのこと好きだって知ってた?」


ちょっと待って。麻衣子も蓮くんも誰のことやら。


「蓮くんが、あんたのことが好きだからって、麻衣子がフラれたのよ!」

「しかもたいしたことないくせに、蓮くんをふるなんてどういうことよ!」


ええと……もしや、蓮くんというのはあの好青年?

彼のことを、麻衣子という、多分この人たちの誰かかこの人たちの友達かが好きだったとして。

私を締め上げなきゃならない理由が、まったくわからないんですけど……。

しかも、ちゃんと断ったのになんでいちゃもんつけられるの?

結局蓮くんはフリーだからいいんじゃない?